新型コロナウイルスの流行により人の移動が制約された影響で宿泊者数が減り、ホテル業界は大きな打撃を受けたが、コロナの影響が減るにつれ観光客が戻ってくることに関連して、ホテル関連銘柄に投資妙味が増している。
ホテル関連銘柄についてまとめた。
ビジネスホテル
ホテルには宿泊メインのビジネスホテルと、宴会も行うシティホテルやグランドホテルがある。株式投資においては宿泊需要と宴会需要を分けて考えた方が良い。直近の旅行者、観光客増の恩恵を大きく受けつつあるのがビジネスホテル。
ワシントンホテル(4691)
ワシントンホテルはビジネスホテルを運営している。コロナ禍で大幅な赤字だったが、2023年3月期は黒字化し純利益3,215百万円と好調に着地した。ただし2024年3月期は、前年のコロナ療養施設としての一棟貸しによる一時的な業績上ブレの反動減により、減益の見込みとなった。
ABホテル(6565)
ABホテルは愛知地盤のビジネスホテルを経営している。コロナ禍でもギリギリ黒字の業績を確保した。2023年3月期の純利益は前年比+218.3%と好調に着地したが、2024年3月期はわずかに減益の業績予想を開示している。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6565/tdnet/2272351/00.pdf
共立メンテナンス(9616)
共立メンテナンスはビジネスホテル「ドーミーイン」を展開する。リゾートホテルや寮事業も営む。成長銘柄ではあるが、株価が高すぎないかどうかはチェックしておきたい。
シティホテル・グランドホテル
シティホテルやグランドホテルは、宿泊の他にも宴会による収益が大きい。そのため業績には、旅行者数増だけでなく、宴会の需要が影響する。ほぼ完全に回復区した宿泊需要と比べ、宴会需要の回復は半ばだが、見通しは良好そうだ。
京都ホテル(9723)
京都ホテルは老舗のグランドホテルを運営している。宴会やレストランの需要も業績に影響する銘柄。2023年3月期の純利益は62百万円と黒字化を達成、2024年3月期は増収増益の業績予想を開示した。2023年3月期の業績予想が未定のままだったことと比べれば、事業の見通しが良くなっている様子だ。
https://www.kyotohotel.co.jp/wp-content/uploads/sites/4/2023/05/20230510_tanshin.pdf
ロイヤルホテル(9713)
ロイヤルホテルはリーガロイヤルホテルを展開している。宴会や食堂の需要も業績に影響する。2023年3月期の経常利益は赤字だが、売却益で純利益は黒字。2024年3月期は減収減益の業績予想となっている。下記のIR系WebサイトはSSL化(https化)未対応。
http://www.royalhotel.jpn.com/pdf/finance/kessan20230512.pdf
帝国ホテル(9708)
帝国ホテルはシティホテルを運営している。2023年3月期は黒字化を実現し、2024年3月期も増収増益を見込む。ただし流通株式比率が上場維持基準を満たしておらず、流通株を増やすための売却圧力がかかる可能性がある点に注意したい。
ホテル、ニューグランド(9720)
ホテル、ニューグランドはグランドホテルを運営している。コロナ禍以前から赤字の年度が多く、アフターコロナによる黒字化が期待できるかどうかは要判断。
インバウンド関連
世界的なコロナ影響が減り外国人旅行者が増える中、インバウンド関連として注目されるホテル銘柄も多い。中国からの入国者に対する水際対策が2023年4月5日から緩和されたことで、その注目度が増している。
HANATOUR JAPAN(6561)
ハナツアージャパンは、旅行関連銘柄のような名前をしていて実際に旅行手配をしているが、ホテル等施設運営事業が売上の大部分を占めている。インバウンド需要取り込みが期待される。
藤田観光(9722)
藤田観光はビジネスホテルやリゾートホテルを運営するが、インバウンド関連銘柄としてよく注目される。
ホテルREIT
ホテルREITは、ホテルの物件を保有し賃料収入を得ている。固定賃料であれば旅行者や観光客の増加は業績にあまり関係ないが、変動賃料の物件があれば、ホテル需要増が業績向上に繋がる。
いちごホテルリート投資法人(3463)
2024年7月期(2024年2〜7月)には2桁の増収増益を見込む。
https://www.ichigo-hotel.co.jp/pdf/ir/library/2023/IchigoHotel_20230316_Earnings_JPN.pdf
ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)
2023年12月期は前期比3倍(223%)の純利益を見込む。
https://www.jhrth.co.jp/file/term-9b96b2f1e05d6971dd6de82128c43710587c5196.pdf
ホテル株への投資の注意点
ホテル株へ投資するにあたり、注意したい点も下記にまとめた。
雇用調整助成金、全国旅行支援、コロナ療養施設としての一棟貸しなど、業績に一時的要因がある場合は、将来の業績を見積もる際に注意が必要。
新型コロナ感染症の再拡大の他、自然災害などの不測の事態が発生すると、ホテルの稼働率や宿泊料金が低下し、株価も下落する可能性が高まる。
観光需要やビジネス需要によって収益が左右される。
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