米シリコンバレー銀行(SVB)は、金融引き締め政策を契機とする信用不安が誘発した取り付け騒ぎによって経営破綻した。このニュースは銀行株を中心とした世界の株安を招いた。
銀行の取り付け騒ぎ
一般的に銀行の取り付け騒ぎとは、銀行の信用不安から預金者が一斉に預金を引き出そうとすることで、銀行の資金が枯渇して破綻する可能性が高まる状況を指す。
銀行の信用不安を誘発する要因には、下記のものがある。
銀行内部要因 | 「不正行為や不適切な業務行為」「財務状況が不安定」「経営陣の信頼性の不足」 |
銀行と顧客との関係 | 「銀行の顧客の倒産や保有資産の不良債権化」「システム障害やセキュリティー不安」 |
外部要因 | 「金融不安」「銀行に対する規制の強化」「その他の噂」 |
SVBの取り付け騒ぎと経営破綻
金融引き締めによる利上げで、SVBが保有する国債等の債券は値下がりし、SVBの貸出先の会社も経営難になりつつある局面であった。
そんな中、SVBは2023年3月8日(水)の四半期決算発表時に保有証券の売却と増資を発表した。内容は下表の通り。損失を伴いながら保有証券を売却し、株式により資金調達を計画していることから、現金が不足している様子を知ることができる。
このSVBの資金不足は、預金を引き出せない不安としてSNSで急速に拡散し、取り付け騒ぎに発展した。取り付け騒ぎによってSVBの資金は枯渇、3月10日(金)に経営破綻が発表された。
世界の株安へ
SVBの破綻そのものに世界の金融システムを揺るがすインパクトは無いが、米国利上げによる経営難が他の銀行でも起こっているとの想定から、世界の株は銀行株を中心に株安が進行した。
米国ダウ平均は、3月8日(水)に32,798.4ドルで終えたが3月13日(月)の終値は31,819.1ドルまで3営業日で1,000ドル近く下げた。
日本の日経平均株価は、3月9日(木)に28,623.2円で終えたが、SVB破綻に象徴される景気減速から3月14日(火)の終値は27,222.0円と3営業日で1,400円以上の下げになった。
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