【書評】わが投資術 市場は誰に微笑むか

わが投資術 市場は誰に微笑むか」は、ヘッジファンドを運用していた清原達郎の、投資人生の振り返りと言える一冊。引退を機に自身のノウハウを惜しげもなく公開した点が魅力

本書の最大の強みは、著者の実体験に基づく鋭い投資洞察。ヘッジファンドの運用には「莫大なエネルギーと貪欲さ」が不可欠で、そのノウハウは「数々の失敗から得た傷」だと強調する。投資の第一歩は「常識を疑う」こと、そして「自分の考えがみんなと違う」時にこそチャンスが生まれるという指摘は、反骨精神あふれる投資家の本質を体現している。

ベイジアン的発想の解説には力点が置かれている。新事実を取り入れて仮説を更新するこの姿勢は、市場の不確実性に対処する鍵として繰り返し語られる。

「小型株の成長は「経営者」要因が9割を占める」「負のフィードバックが働く業界では持続成長は期待薄だ」といった分析は、具体例を交えて説得力がある。

業界動向や投資のプロの投資環境についても記載がある。例えば1980〜90年代の野村證券やゴールドマン・サックスでの内情が明かされていたり、どのような人脈と連携し投資判断を行ったかの記載がある。

個人投資家には難しい技もあり、注意が必要。例えば、割安さを計算するのに「財務構造を揃えて計算する」というテクニックが紹介されているが、これは規模があり経営陣に自社株買い圧力をかけれる機関投資家でなければ難しい。往々にして個人投資家が買った割安株は、割安のまま現金を腐らせ続けることが多い。

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