
モバイルから自動車やIoTへ事業展開
Qualcommは、従来のモバイル中心の事業から、近年では自動車やIoT分野へも事業の軸足を広げ、注力・展開している。
モバイル技術を基盤とした事業の多角化

Qualcommは、モバイル技術を自動車やIoTで活用し始めています。
Qualcommは、モバイル分野で培ったSoC(System on Chip)技術を活用し、自動車やIoT(Internet of Things)分野への事業展開を積極的に進めている。SoC技術は、CPU、GPU、NPU、モデム(5G/4G、Wi-Fi、Bluetooth)といった複数の機能を1つのチップに統合するもので、同社の強みである。この技術を応用することで、Qualcommはスマートフォン市場を超え、新たな成長分野での競争力を強化している。
売上構成と成長分野の動向

現状ではまだスマートフォン部門が主力ですが、自動車とIoTが急伸しています。
Qualcommの売上構成は、依然としてスマートフォン(Handsets)部門が主力である。2025年第2四半期(FY2025Q2)の売上は、スマートフォン部門が6,929百万ドル、自動車部門が959百万ドル、IoT部門が1,581百万ドルを記録した。前年比では、スマートフォン部門が12%の成長に対し、自動車部門は59%、IoT部門は27%と、自動車とIoTの成長率が顕著である。このデータは、Qualcommがモバイル以外の分野で着実にシェアを拡大していることを示している。
注力・高成長分野
Qualcommは、自動車分野、IoT分野、そしてPC市場に注力しており、これらの事業は現在、高成長の途上にある。
自動車分野:ソフトウェア定義型車両への対応

Qualcommのソリューションにより、自動車が進化しています。
自動車業界では、「ソフトウェア定義型車両(Software Defined Vehicle)」の潮流が加速している。これは、ソフトウェアの更新や変更を通じて車両の機能や価値を向上させるアプローチであり、Qualcommにとって重要なビジネス機会となっている。同社は「Snapdragon Digital Chassis」と総称される自動車向けソリューションを提供し、デジタルコックピット、コネクティビティ、ADAS(先進運転支援システム)、自動運転プロセッサをカバー。これらの技術は、自動車の電動化や自動運転の進化を支える基盤として注目されている。
IoT分野:多様なアプリケーションへの展開

Qualcommのチップセットはロボットの活躍にも繋がります。
IoT分野では、Qualcommは「Qualcomm IQシリーズ」を展開し、産業用PCやロボティクスを含む広範なアプリケーションと接続性セグメントに対応している。同社のコア技術であるモバイル技術、計算能力、エッジAIは、IoTデバイスに求められる高効率な処理能力や低消費電力のニーズに適合。特にロボティクスは、Qualcommが技術力を発揮できる成長分野として位置付けられている。
PC市場での新たな可能性:Snapdragon Xシリーズ

スマホだけでなく、PCでもQualcommのチップを見かけるようになりました。
IoTの一環として、QualcommはPC向けの「Snapdragon Xシリーズ」を展開し、Microsoftの「Copilot+ PC」に採用された。このPCは、AI機能を強化した点に加え、Armアーキテクチャによる低消費電力性能が評価されている。ArmベースのPCへの市場の移行は、Qualcommにとってさらなる成長機会を提供する。特に、モバイル技術の強みを活かした低電力かつ高性能なチップの需要が高まる中、同社のポジションは有利と言える。
今後の展望

Qualcommの事業展開から目が離せませんね。
Qualcommの事業多角化戦略は、モバイル技術を基盤に自動車やIoTといった成長市場への展開を加速させている。スマートフォン市場の安定した収益を背景に、自動車やIoT分野での高い成長率は、同社が新たな市場で競争力を発揮しつつある証拠である。特に、ソフトウェア定義型車両やAIを活用したIoTデバイスは、今後の技術革新の中心となる可能性が高く、Qualcommの技術力がこれらの分野でどのように展開されるかが注目される。
コメント