不動産銘柄の開示抜粋 コロナで2021年3月期業績は弱気や未定

2020年4月27日〜5月1日にリリースされた、不動産業の主要な適時開示をまとめておく。決算は良好だが、コロナ影響により、2021年3月期の業績は未定または弱気となっている。引き渡しの時期が後倒しになった影響で、業績予想は下方修正が多い。また、決算プロセスが滞り、決算発表の延期が続出している。

本決算

「プラウド」ブランド等のマンション開発、分譲が主力の野村不動産ホールディングス(3231)は、2020年3月期の決算を発表した。売上高は676,495百万円(前年比+1.2%)、経常利益は73,077百万円(前年比+5.4%)となった。売上は、住宅部門が落ち込み(前年より△40,663百万円、10.8%減)、それを都市開発部門(前年より+44,208百万円、25.8%増)でカバーする形になった。2021年3月期の業績予想は、未定とした。

証券取引所を賃貸する平和不動産(8803)は、2020年3月期の決算を発表した。売上高は46,639百万円(前年比+18.1%)、経常利益は10,006百万円(前年比+18.7%)の大幅の増収増益となった。景気回復を背景とした企業の移転、拡張等に伴うオフィス需要により空室率が低水準で推移し、賃料水準の上昇傾向が継続した。また、開発不動産売上高はたな卸資産の売却が寄与した。2021年3月期の業績予想は、売上高は34,000百万円(前年比△27.1%)、経常利益は8,500百万円(前年比△15.1%)と控えめな値とした。

ビル賃貸老舗のダイビル(8806)は、2020年3月期の決算を発表した。売上高は42,817百万円(前年比+5.4%)、経常利益は10,858百万円(前年比+9.1%)となった。東京・大阪各ビジネス地区のオフィスビルの空室率が引き続き低水準で推移し、新規取得の日本橋三丁目ビル、ダイビルPIVOT等計3物件や、新規竣工ビルBiTO AKIBAが業績に寄与した。2021年3月期の業績予想は、売上高は42,500 百万円(前年比△0.7%)、経常利益は10,000百万円(前年比△7.9%)とした。

不動産仲介店を4大都市圏でFC展開するセンチュリー21・ジャパン(8898)は、2020年3月期の決算を発表した。売上高は4,113百万円(前年比△0.9%)、経常利益は1,171百万円(前年比△8.4%)となった。2021年3月期の業績予想は、未定とした。

業績予想の修正

大阪府を中心に低価格の戸建て分譲住宅事業を展開する誠建設工業(8995)は、2020年3月期の業績予想を下方修正した。販売予定の建売住宅が翌期にずれ込んだ事で、経常利益は105百万円(予想比△12.5%)に着地したようだ。なお、誠建設工業は、2020年4月の月間平均時価総額および月末時価総額が10億円未満となり、上場廃止にリーチがかかった。

マンション分譲を行うヨシコン(5280)は、2020年3月期の業績予想を下方修正した。大型商業施設用地の引渡しが約 40 億円程先延ばしされたことや分譲マンションの買い控えが進んだ事で、経常利益は1,197百万円(予想比△54.8%)に着地したようだ。

貸金業、不動産事業を行うJALCOホールディングス(6625)は、2020年3月期の業績予想を下方修正した。賃貸不動産取得や貸金残高が想定を下回り、経常利益は613百万円(予想比△38.7%)に着地したようだ。

マンション分譲中堅のサンウッド(8903)は、2020 年3月期の業績予想を上方修正した。一部プロジェクトを追加で販売し、経常利益は654百万円(予想比+12.8%)に着地したようだ。

決算の延期

病院関連事業の特化に転換中のグローム・ホールディングス(8938)は、コロナの影響で連結決算プロセスに遅れが生じ、5月14日から5月22日へ、2020年3月期の決算発表を延期した。

過去の施工物件で問題が多発しているレオパレス21(8848)は、決算プロセスに遅れが生じ、5月13日に予定していた2020年3月期の決算発表を延期、発表予定日を未定とした。なお、レオパレス21は、多角化を志向した戦略から、賃貸事業を中核事業とする戦略へ方針を転換した事を発表した。賃貸事業を強化、シルバー事業は維持・継続、開発事業は縮小、国際事業とホテル・リゾート事業は撤退・譲渡する。

羽田空港国内・国際ターミナルビルの家主である日本空港ビルデング(9706)は、決算業務の遅延により5月8日から5月26日へ2020年3月期の決算発表を延期した。

東京・神奈川地盤にデザイン性高めた中価格帯の戸建て分譲を展開するアグレ都市デザイン(3467)は、コロナ対応で決算業務が遅延、5月7日から5月22日へ、2020年3月期の決算発表を延期した。

借り上げ社宅管理代行首位の日本社宅サービス(8945)は、5月8日から5月20日へ、2020 年6月期第3四半期決算発表日を延期した。

総合不動産大手の東急不動産ホールディングス(3289)は、監査業務遅延の可能性を受けて、5月12日から5月20日へ、2020年3月期の決算発表を延期した。なお、コロナ影響によりグループの施設等は、多くが5月6日まで休業予定となっている。

分譲住宅のケイアイスター不動産(3465)は、5月11日から5月18日へ、2020年3月期の決算発表を延期、5月15日に予定していた決算説明会を中止した。

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