2026年の7月に仕事を辞め無職になった。この状態を世間一般ではFIREと呼ぶらしく、例えば元同僚と話をする際などに、FIREという単語が出てくる。実のところ私自身の心情的に、これがFIRE状態だとは言えないのだが、客観的にはFIREなのだろうと思い、わかりやすさのために自称でFIRE民を名乗るようになった。
FIRE(Financial Independence, Retire Early)に関して一般的に言われていることと、私自身がFIREした感想には著しい違いがあるように思う。主な違いは下記。これらについて、ブログに投稿しようと思う。
| 一般的なFIRE | 私の状態、思うこと |
| 経済的に自立している。 | 蓄えはあるが、お金の心配が無くなることはない。 |
| FIREのためには、節約が大切。 | FIREのためには、運と運用益が大切。 |
| 社会的に孤立する可能性がある。 | 社会的に孤立しているが、それは問題でない。 |
| 自由な時間が増え、自分のやりたいことに集中できる。 | 時間が溶けやすく、忙しい。 |
| 憧れる。 | そんなに良いものではないし、勧めない。 |
お金の心配は無くならない
FIREは、あたかもお金の心配が無くなるようなイメージで語られることは多いように思う。その際に、特に4%ルール(年間生活費の25倍の資産を築き、年利約4%で運用しながらその収益だけで生活費を賄う方法)が持ち出されることが多い。理屈はそうだが体感では、この4%ルールは机上の空論に近い。
年4%で運用するためには、少なからずリスク資産への投資が必要になる。株主資本コスト(もしくは株の期待収益)が8%だと想定したとしても、資産の半分を株に回す必要がある。ところが株のリスクは20%を超え、リーマンショックのような局面では半減することもある。そもそも戦争やハイパーインフレ、サイバーセキュリティ問題により資産を失う可能性も0ではない。
いくら蓄えても、お金の心配は無くなりはしないと、私は思う。
FIREのために大切なのは、節約ではなく運と運用益
FIREを目指して極端な倹約をしている人、通称NISA貧乏がいる。私のイメージでは、倹約によって手に入る資産は微々たるものだ。私は最後の半年間に株が2,000万円増えてFIREしたが、この金額とスピードは倹約によって実現するものではない。
大切なのは節約ではなく、運と運用益だ。スーパーをはしごして、100gが148円ではなく128円の豚肉を手に入れる時間よりも、将来140円になるはずの今120円の株の探し方を研究する時間のほうが、費用対効果が高い。
元手と節約が大切であることは否定しないが、資産形成のためには、運用益を増やすために勉強することも大切だ。
社会的な孤立
FIREすると社会的に孤立する懸念が指摘されている。この指摘は部分的に正しいと思う。私は退職後、社会的には孤立している。ただ、それが問題だとは思わない。スーパーで「レジ袋は不要です」と意思表示できる程度のコミュニケーション能力があれば良い。今の所。
むしろ、望ましくない人脈を切れるメリットが大きい。仕事をしていると、知能も人望も無いヤバイ奴と、どうしても関わらなくてはならない局面が出る。そして知能も人望もない奴ほど会社で出世している場合も多く、問題が更に難しくなっている。それに対して、FIREすると関わりたくない人と関わらずに済む。これは明らかにメリットだ。FIREすると、会いたい人とだけ会う選択ができる。
自由な時間は、割と少ない
社会人をしていると1日8時間以上拘束されるが、FIREすると自由時間が増えるというイメージをもつ人は多いはずだ。論理的にはあまりに当然の主張だ。だが実際にFIREしてみると、体感の自由時間はあまり増えない。時間が溶けやすくなる。
働かないと動かないので筋力が落ちる。私は60kgあった体重が55kgになった。アドレナリンのような脳内物質も減っているように思う。結果として活動にかかる体力的コストと心理的コストが増え、動ける時間も範囲も割と少なくなる。
x(旧twitter)で就労も子育てもしない専業主婦が、自身は忙しいと権利主張して叩かれるのを見ることがあるが、その専業主婦の気持ちが今なら分かる。働いて動かないと、今度は逆に、動けなくなって忙しくなるのだ。
FIREは憧れるか?
退職時や退職後に、「FIRE、憧れます」と、複数の20代〜30代の人に言われた。だが、FIREは良いものではないと思うし、お勧めもできない。私は働きたくないし、人と会話をしなくても良いし、一日中株を見ていて楽しいと思うので、FIREした。だがこれは明らかに普通ではなく、異常だ。
世の中の多くの人は健全で、やりがいや生きがいのために働き、社会の一員として務めを果たし、人とコミュニーケーションをとり、自己成長している。そういう普通の人は、FIREをすべきではない。FIREに憧れないで欲しいと思う。
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