リーマン・ショック(2008年)時の米ドル/円 為替チャート どのように、そして何故、円高は進行したか?

サブプライムローンの不良債権化が深刻になり、2008年9月15日に、米国のリーマン・ブラザーズが破綻した。同社の破綻は関連企業・関係者に波及し、未曾有の金融危機となった。この金融危機は、リーマン・ショックと呼ばれている。

リーマン・ショックにより世界経済の状況が悪化するに伴って、為替では極端とも言える円高が進行した。米ドル/円 為替チャートから、当時の様子を振り返る。

リーマン・ブラザーズ破綻直後の米ドル/円

2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻した際は、有事の円買いが起こり、円高が進行した。前週末に1ドル107.94円だった米ドル/円 為替は、1ドル104.65円まで円高に振れた。

これは前週末比で3円を超える円高であるが、この時期は極端に為替が変動した日が多く、チャートではあまり目立たない。その後、暫くは小康状態であったが、10月以降更に、極端とも言える円高が進行した。

リーマン・ショック時の米ドル/円

リーマン・ブラザーズの破綻は金融システムに悪影響し、金融危機が深刻になった。為替は一方的な円高が進行した。12月17日には、1ドル87.13円をつけるに到った。3ヶ月の間に、20円もの円高が進行した事になった。

円高要因

これほど極端な円高が進行したのには、複数の要因がある。

日本円に利下げ余地がほとんど無い

一つは、日本円が低金利で、利下げ余地がほとんど無かった事だ。当時はまだ、デフレと低金利と低成長状態化を意味する日本化(Japanification)が世界で懸念される事もなく、多くの国の通貨は高金利であった。そして、経済が悪化すれば利下げをするという金融政策がとられていた。

金融危機では、世界各国が利下げをした。一般的に、利下げをした国の通貨は売られ、通貨安となる。保有資産の価値が利下げによる通貨安で毀損するのを避けるため、投資マネーは消去法的に、利下げが出来ない日本円に集まった。

円キャリートレードの巻き返し

経済環境が良かった時期に、低金利の日本円を売り、高金利通貨で運用して利益を出す、円キャリートレード(円借り取引)が流行していた。

ところが経済が悪化し高金利通貨が値下がりするようになると、円キャリートレードは手仕舞う必要が出てきた。円は買い戻された。このリスクマネーの還流(円キャリートレードの巻き返し)は、円高の進行に拍車をかけた。

相対的に健全な、日本の経済システム

日本の経済システムが相対的に健全だった事が、日本円の買いを誘い円高の要因となった。

日本は平成バブル崩壊後、不良債権処理が進み、金融システムは堅実になっていた。不動産バブル崩壊とサブプライムローン問題に揺れる米国や、2010年欧州ソブリン危機を経験する欧州と比べれば相対的に安全だと考えられた。

また、日本は貿易黒字国だった。黒字国と赤字国を比べれば、相対的に黒字国の方が安定性が高いと考えられたため、貿易黒字国に投資マネーが集まるようになっていた。

このように、相対的に日本は安全と考えられた結果、消去法的に投資マネーが集まり、円高が進行した。

教訓

リーマン・ショックでは3ヶ月の間に20円という、極端な円高が進行した。このように、時として為替は、一方方向へ進んでいっていってしまう。極端な逆張りポジションをとってはならない。この時期に外国株へ投資していた投資家は、株安と円高のダブルパンチを受ける事になった。レバレッジを大きくかけた逆張り運用は破綻した。

また、リーマン・ショックは、出口の見えない金融危機に慄く投資家にとっては絶望である一方で、将来の景気回復を予想している者にとっては、株・為替のバーゲンセールになったと言えよう。経済と景気の長期的視野を持ち、落ち着いた資産運用をしたいものだ。

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