2011年8月4日、進行する円高に対して日本銀行は単独で為替介入を行った。これにより、米ドル/円 為替は3円を超える円安になった。この円安は長くは続かず、8月9日には元の為替水準に戻った。
為替介入前後のチャートをもとに、当時の様子を振り返る。
為替介入時の米ドル/円 為替チャート
7月8日に81円台をつけていた米ドル/円 為替は、その後、円高が進行していた。
進む円高に対して日本銀行は、単独で為替介入を行った。結果、8月4日に1ドル77.05円だった為替は一時80.34円をつけるまで、3円以上の値幅の急激な円安となった。
介入の円安は持続せず
G7が8月8日に、「為替の過度な変動に対して適切に協力する」等の声明を出したものの、円買いの圧力は強かった。各国が自国通貨の切り下げ競争をしている時分だったため、東日本大震災直後のような協調介入には至らなかった事も、その一因だった。
8月9日には元の為替水準に戻ってしまった。この出来事は、後の為替介入後の覆面介入に繋がって行く。
すぐに円高に戻ったとは言え、介入に一定の成果はあったと言える。投機筋は日銀砲に怯える事となった。チャートの通り円高進行のスピードは軽減され、暫くの間、米ドル/円 は1ドル76円後半でもみあう展開となった。
日銀の介入
介入額
為替介入の金額は、4兆5129億円と大規模なものであった。
財務省は31日夜、8月期(7月28日~8月29日)の外国為替平衡操作の実施状況を発表し、外国為替市場への介入額が4兆5129億円だったと公表した。時期は不明。8月4日のみならば、1日の規模としては記録が残る1991年4月以降で最大となる。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL31063_R30C11A8000000/
他国の理解は得やすかったはず
この為替介入は、各国が自国通貨安へ誘導している時期での出来事だった。とはいえ、円高が急激に進行していた事と、東日本大震災の直後の協調介入の水準よりも円高状態だった事から、為替介入を行う根拠はあったと言える。各国から大きく批判される事は無い、との判断がなされたのであろう。
教訓
日銀の為替介入は、米ドル/円 為替を3円以上動かす力を有している。円高が止まらないと考え、円買い取引をしていた投資家は、日銀の2011年8月の為替介入によって、損失を被る事になった。為替介入による為替変動を視野に入れる事は、極端なポジションでの大損害の回避の一助となるだろう。
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