2010年5月6日、高速・高頻度取引(HFT)による株の損切り売りが集中し、ダウ平均株価は瞬間的に、大幅な乱高下をした。このような瞬間的な乱高下現象は、フラッシュクラッシュと呼ばれている。
2010年5月のフラッシュクラッシュでは、リスク回避の円買いが起こり、米ドル/円 為替も大きく変動、円高が進行した。当時の為替チャートを確認してみる。
フラッシュクラッシュ前後の米ドル/円 為替チャート
5月6日に1ドル93.80円で始まった米ドル/円 為替は、フラッシュクラッシュの混乱を受けて87.94円をつけるまで円高が進行した。その差は5.86円という、非常に大きな為替変動であった。為替は翌5月7日も荒い動きとなった。週が明けた、5月10日には落ち着きを取り戻し、ほぼフラッシュクラッシュ前の為替水準になった。
その後、5月20日にも急激な円高局面が訪れた。これは、米新規失業保険申請件数の増加による、リスク回避の円買いである。
為替が急変動したきっかけについて
上記チャートで目立つ、急激な円高のきっかけとなった、フラッシュクラッシュと米新規失業保険申請件数の増加についてを、以下に記載する。
フラッシュクラッシュ
ダウ平均株価は2010年5月6日に、わずか数分間の間に、大部分は1分に満たない短い時間に、9%(約1,000ドル)下落した。その下落の大部分は、その日の内に回復した。
きっかけは、米運用会社が出した株価指数先物への大口売り注文だった。それが、似通った損切りアルゴリズムを持つ「高速・高頻度取引(HFT)」の損切り売りを誘った。想定外の売り注文は買い板を突き抜け、下げ幅が急拡大した。
米新規失業保険申請件数の増加で円高
2010年5月20日はダウ平均株価も下落し、典型的なリスク回避型の円高相場になっていた。これに米新規失業保険申請件数の増加が拍車をかけ、一時1ドル88.96円まで円高が進行した。
2010年5月20日(木)21:34 written by 研究員 川畑
先ほど発表された米新規失業保険申請件数が増加したことを受け、ドル/円は発表前の90.80円レベルから、21:33時点では90.60円を挟むレベルに下落しており、ネガティブな材料には反応しやすい地合いが続いているようです。
(米) 5/15までの週の新規失業保険申請件数 47.1万件(前回44.6万件(44.4万件より修正) 市場予想44.0万件)
http://www.gaitamesk.com/blog/review/2010/05/
教訓
2010年5月のフラッシュクラッシュ時のように、高速・高頻度取引(HFT)の売買が暴発すれば、米ドル/円為替相場は1日で6円近くも円高に動く事がある。フラッシュクラッシュは比較的早く元の水準に戻る傾向が強いものの、それまでの動きはとても早い。もしもロスカットが発生すれば、それは狩られる事になる。
フラッシュクラッシュは株でも通貨でも、比較的繰り返し起こるものだ。極端な乱高下に翻弄されないように、資金管理をしていきたい。
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