米国債ショック(2011年)前後の米ドル/円為替チャート

米国債ショック(べいこくさいショック)は、2011年8月8日(月)に発生した世界同時株安。米国債のデフォルト懸念からアメリカの格付け機関スタンダード&プアーズ(S&P)が2011年8月5日(金)にアメリカの長期発行体格付けをAAAからAA+に格下げした事が発端。

米国債ショック前後の米ドル/円為替チャートを作成した。米国債ショックによる世界同時株安が起こる前から、米国の債務上限問題が深刻化するにつれて、為替は円高に推移していた。日銀が円売ドル買いの為替介入を行ったが、米国債ショックによる金融不安は安全資産とされる日本円の需要を高め、円高が進行した。

米国債ショック前後の米ドル/円為替チャート

米国の債務上限問題が深刻化するにつれて、安全資産とされていた米国債の信用が揺らぎ、為替はドル安円高が進行した。

米国債ショックまでの経緯

格下げ見通し

米国債格下げの見通しは、2011年7月まで遡る。2011年7月13日(水)に、ムーディーズがアメリカの政府債務格付けを引き下げ方向で見直す事を発表、2011年7月15日(金)にはS&Pが米国債を「クレジットウォッチ・ネガティブ」に指定した。

既に1ドル80円を割る円高だったが、この頃からリスク回避の円買い・円高が更に進んだ。

米国債デフォルト懸念の後退

2011年8月2日(火)に上院が債務上限引き上げ法案を可決、オバマ大統領は直ちに法案に署名し成立した。ここで米国債のデフォルトは回避された。

日銀による円売為替介入

2011年8月4日(木)、日銀が為替介入を行い円安へ誘導した。前日に77.05円であった為替は8月4日(木)に80.23円をつけるに到った。およそ3円の大幅な円安になった。

多くの投資家は、為替介入があるとしても8月5日(金)までの金融政策決定会合の後に発表されると読んでいた。その目論見を外した8月4日(木)の発表は効果的なサプライズとなった。もしこの後に米国債の格下げが無ければ、円高トレンドは終わり、円安に行っていたと考えられる。

米国債ショックとその後

米国債格下げと米国債ショック

その後、米国債が格下げされた。2011年8月5日(金)にS&Pが、アメリカの長期発行体格付けをAA+に、見通しを「ネガティブ」に格下げ、2011年8月7日(日)には再びS&Pが、財政赤字が悪化すればさらに格下げすると警告した。これを受け、2011年8月8日(月)に世界同時株安が発生した。

株安を受けて為替は、リスク回避の円買いが起こり円高が進行、日銀による為替介入の前の水準に戻った。2011年8月19日(金)には、75.94円まで円高が進行した。

レンジ相場と日銀為替介入・覆面介入

その後暫く76円から78円のレンジ相場が続いた。2011年10月31日(月)には再び75.32円を付けるまで円高が進行したが、日銀の為替介入が行われ78円台まで円安に振れた。8兆722億円の巨額な円売りドル買いの介入であった。

翌日2011年11月1日(火)から4日(金)にかけても覆面介入を行ったと、後日正式に発表された。

その後は円安に振れていき、75.32円は米ドル/円為替相場の円の最高値の記録となった。

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