ドバイG7(2003年)前後の米ドル/円 為替チャート ドル安のタイミングとその背景は?

米国の貿易赤字の拡大が問題視される中、2003年9月20日にドバイG7が開催された。それに先立ちマーケットは、ドル安が誘導されると予想し、ドル売りを加速させた。そのため、急激なドル安・円高が進行した。

ドバイG7前後の米ドル/円 為替チャート

9月16日に1ドル117.48円をつけた米ドル/円 為替だが、急激にドル安・円高が進行、9月23日には110.89円をつけた。その後もこの傾向は止まらず、更にドル安・円高が進行した。

時代背景

インターネット・バブルは2000年代の初期に崩壊し、世界経済は沈んでいた。2003年3月20日には、米国を中心とした多国籍軍がイラクへ進攻、イラク戦争が開始された。米国は、貿易赤字の拡大を問題視していた。

貿易赤字が増えれば、他国への支払いが増え、通貨安となるのが自然である。ところが、日本や中国が、自国を為替安へ誘導し、輸出産業をテコ入れしようとして、積極的に為替介入を行っていた。

「米国は、他国の為替介入を抑制し、自国の通貨安と貿易赤字の縮小を目論んでいる」と、マーケット参加者が予想するのは容易であった。

ドバイG7共同声明

G7で各国財務相が合意した共同声明は、下記の内容が織り込まれていた。

為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきということを再確認する。引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力していく。市場メカニズムに基づいて国際金融システムの円滑で広範な調整を促すために、主要な国や経済圏にとって為替レートのさらなる柔軟性が望ましい。

http://www.forexwatcher.com/interv2.htm

為替介入の抑制とドル安への誘導を示唆するには、やや弱い表現ではある。にもかかわらず、マーケットはこれを、ドル安誘導への方針転換と捉えた。G7後も、ドルは売られ続けた。

教訓

積極的な為替介入等の理由により、為替の水準がファンダメンタルズ基準で不自然な状態になっていると考えられる場合、G7でその是正がなされるとの思惑から、為替が大きく変動する事がある。為替水準は適切かどうかを判断するための指標や材料に、注視しておく事が大切だ。

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